この場合、彼に取っては天にも地にも、たった一人の友人である私としては、なんとか彼をなだめて、この暴挙をとめなければならなかったのですが、むろん幾度となくそれは試みたのですが、いっかな狂気の彼の耳には入らず、それに事柄が別段悪事というのではなく、彼自身の財産を、彼が勝手に使うのであってみれば、ほかにどう分別のつけようもないのでした。
私はただもう、ハラハラしながら、日に日に消え行く彼の財産と、彼の命とを、眺めているほかはないのでした。
そんなわけで、私はその頃から、かなり足繁く彼の家に出入りするようになりました。