飛び込むように中へはいると、そこには、今では奥様と呼ばれている彼の愛人の小間使いをはじめ、数人の召使いたちが、あっけに取られた形で、立ちすくんだまま、ひとつの妙な物体を見つめているのでした。
その物体というのは、玉乗りの玉をもう一とまわり大きくしたようなもので、外部には一面に布が張りつめられ、それが広々と取り片づけられた実験室の中を、生あるもののように、右に左にころがり廻っているのです。
そして、もっと気味わるいのは、多分その内部からでしょう、動物のとも人間のともつかぬ笑い声のような唸りが、シューシューと響いているのでした。