お父さんの岩瀬氏は、半白の坊主頭に、あから顔にひげのない、大商人らしい恰幅の人物だが、彼はまるで、お嬢さんの見張り番ででもあるように、彼女の一挙一動を見守りながら、そのあとをつけ廻していた。
こんどの旅行は、商用のほかに、この都の或る名家と縁談がまとまりかけているので、引き合わせのために早苗さんを同伴したのだが、折も折、ちょうど出発の半月ほど前から、岩瀬氏は、ほとんど毎日のように配達される、執念ぶかい犯罪予告の手紙になやまされていたのだ。
「お嬢さんの身辺を警戒なさい。
お父さんの岩瀬氏は、半白の坊主頭に、あから顔にひげのない、大商人らしい恰幅の人物だが、彼はまるで、お嬢さんの見張り番ででもあるように、彼女の一挙一動を見守りながら、そのあとをつけ廻していた。
こんどの旅行は、商用のほかに、この都の或る名家と縁談がまとまりかけているので、引き合わせのために早苗さんを同伴したのだが、折も折、ちょうど出発の半月ほど前から、岩瀬氏は、ほとんど毎日のように配達される、執念ぶかい犯罪予告の手紙になやまされていたのだ。
「お嬢さんの身辺を警戒なさい。