一瞬間、部屋の中は全くからっぽになったように静まりかえったが、やがて、ボソボソと人のささやく声、いそがしく歩き廻る足音、何かのぶつかる音などが、やや五分間ほどもつづいていたが、それも静まると、ふたたび鍵を廻すけはいがして、ドアが細目にひらき、目がねをかけた白い顔が、ソッと廊下をのぞいた。
だれもいないのを見定めた上、やがて、全身を部屋のそとへ現わしたのを見ると、それは意外にも緑川夫人ではなくて、早苗さんであった。
もうトランク詰めになってしまったとばかりに思っていた早苗さんであった。
一瞬間、部屋の中は全くからっぽになったように静まりかえったが、やがて、ボソボソと人のささやく声、いそがしく歩き廻る足音、何かのぶつかる音などが、やや五分間ほどもつづいていたが、それも静まると、ふたたび鍵を廻すけはいがして、ドアが細目にひらき、目がねをかけた白い顔が、ソッと廊下をのぞいた。
だれもいないのを見定めた上、やがて、全身を部屋のそとへ現わしたのを見ると、それは意外にも緑川夫人ではなくて、早苗さんであった。
もうトランク詰めになってしまったとばかりに思っていた早苗さんであった。