応接間の中の早苗さんは、父親が行ってしまうと、一つ一つの椅子の掛け心地をくらべてみたり、立って窓のそとを眺めたりしていたが、やがてピアノの蓋をひらいて、でたらめにキイを叩きはじめた。
叩いているうちに興が乗って、童謡の曲になったり、それがいつの間にかオペラの一節に変っていたりした。
しばらくはピアノに夢中になっていたが、それにも飽きて、もう居間へ帰りましょうと立ちあがって、ひょいと振り向いた時、彼女はそこに、実に思いもかけない恐ろしい物の姿を発見して、ギョッと立ちすくんでしまった。
応接間の中の早苗さんは、父親が行ってしまうと、一つ一つの椅子の掛け心地をくらべてみたり、立って窓のそとを眺めたりしていたが、やがてピアノの蓋をひらいて、でたらめにキイを叩きはじめた。
叩いているうちに興が乗って、童謡の曲になったり、それがいつの間にかオペラの一節に変っていたりした。
しばらくはピアノに夢中になっていたが、それにも飽きて、もう居間へ帰りましょうと立ちあがって、ひょいと振り向いた時、彼女はそこに、実に思いもかけない恐ろしい物の姿を発見して、ギョッと立ちすくんでしまった。