しあわせと風波のない航海日和、畳のような海原を、その船は見かけによらぬ快速力で、午後には紀伊半島の南端に達したが、どこへ寄港するでもなく、伊勢湾などは見向きもしないで、まっしぐらに、太平洋のただなかを、遠州灘めがけて進んで行った。
ちっぽけな船のくせに、大胆にも、遠洋航路の大汽船と同じコースを通っているのだ。
外見はなんのへんてつもないまっ黒な貨物船。
しあわせと風波のない航海日和、畳のような海原を、その船は見かけによらぬ快速力で、午後には紀伊半島の南端に達したが、どこへ寄港するでもなく、伊勢湾などは見向きもしないで、まっしぐらに、太平洋のただなかを、遠州灘めがけて進んで行った。
ちっぽけな船のくせに、大胆にも、遠洋航路の大汽船と同じコースを通っているのだ。
外見はなんのへんてつもないまっ黒な貨物船。