それから、地底の廻廊を進むにつれて、古めかしい名画を懸け並べた一郭があるかと思うと、その隣には仏像の群、それから西洋ものの大理石像、由緒ありげな古代工芸品、まことに美術館の名にそむかぬ豊富な陳列品であった。
しかも、黒衣婦人の説明によれば、それらの美術工芸品の大半は、各地の博物館、美術館、貴族富豪の宝庫におさまっていた著名の品を、たくみな模造品とすりかえて、本物の方をこの地底美術館へおさめてあるのだという。
もしそれが事実とすれば、博物館は模造品を得々として展覧に供し、貴族富豪は模造品を伝来の家宝として珍蔵していることになる。