有名な印度奇術に、空中に投げた綱が直立してこれを少年が空高く登って行く云々というのがあって、旅行者の実見談として広く流布されているが、私の見た限りの奇術書では、皆一応これに触れてはいるけれども、そのトリックは不明とし、虚構の伝説であろうというに一致している。
ここにオカルティズムと手品との境界線が引かれるのではないかと思う。
他の印度奇術、観客の目の前でマンゴの種子が木となり花が咲き果実がみのるものや、何十日も地中深く埋められて生きている奇術などは、どの奇術書にも種あかしがしるされていて、合理的に可能なのである。