(最後の著書「未知の世界の一端」に収む)けっきょく私はドイルの心霊信仰を軽蔑し、フーディニの合理主義に好意をもったのであるが、最近ドイル晩年の親友、神学博士ジョン・ラモンド師の著「コナン・ドイルの思い出」を一読するにおよんで、ドイルの真意がいくらかわかったように思われ、これまでのように彼の奇矯な信仰をわらえなくなっている。
ドイルの心霊研究は決して有閑老人の物好きな遊びではなかった。
彼の他界存在の信仰も晩年になって突然気が向いたというようなものではなく、三十年前からこの問題に疑問をもち、充分懐疑的な態度で、探偵小説執筆のかたわらひそかに古来の文献を渉猟し、研究をつづけていたのである。