普通、指紋小説としてはフリーマンの「赤い拇指紋」(改造社「世界大衆文学全集」第六十巻「ソーンダイク博士」に邦訳)が最初のものとされているが、キャデットのこの作品は、それよりも七年先んじている。
もっともこのほかに、もっと早く、探偵小説愛好家がウッカリ見逃がしている作品がある。
それはマーク・トウェーンの Life on the Mississipi(1883)の第三十一章の一話と、長篇 The Tragedy of Pudd'nhead Wilson(1894)(これも上記改造社全集第十巻「トウェーン名作集」に「抜けウイルソン」と題して訳されている)の二つで、いずれも指紋によって犯人を発見する話である。