もっともこのほかに、もっと早く、探偵小説愛好家がウッカリ見逃がしている作品がある。
それはマーク・トウェーンの Life on the Mississipi(1883)の第三十一章の一話と、長篇 The Tragedy of Pudd'nhead Wilson(1894)(これも上記改造社全集第十巻「トウェーン名作集」に「抜けウイルソン」と題して訳されている)の二つで、いずれも指紋によって犯人を発見する話である。
すると、世界最初の指紋探偵小説はマーク・トウェーンの作品ということになるが、ところが、「ミシシッピ河の生活」よりはおそいが、「抜けウイルソン」よりも早く、日本で指紋探偵小説が出版されているのである。