『現今使用しておる指紋法を日本で発見するに至った事情を説明すると、明治十一年ごろ(西暦一八七八年)、東京の築地病院にきておった英国の医者ヘンリー・フォールズという人が、そのころ発掘せられた日本の石器時代の土器に指紋の跡がついていることを観察し、他方、日本において昔から爪印、拇役、手形というように手指の印章を証文に押しておることから大いに興味を抱き、いろいろと研究した結果、これを個人識別に応用しようと考えて、英国の科学雑誌「ネーチュア」に投稿したのである。
そして、それが雑誌に出たのは明治十三年(西暦一八八〇年)十月二十八日である』
(この文章では、フォールズは明治十一年ごろちょっと日本にきていたようにもとれるが、平凡社百科事典の「指紋」の項の仁科氏の記述によると、彼は明治七年から十九年まで在日したとある。