また、この本の表紙は、当時流行の西洋風着色石版刷りで、テーブルの上に実物幻燈器が置かれ、そのそばにお尻を大きくしたコルセットをはめた洋装令嬢が、一方の手に血の手形の紙を持って立っている姿が、美しく描かれている。
この「幻燈」がブラックの創作か、あるいはイギリスの当時の小説から筋をとったものか、いまとなっては全く手掛りがないけれども、後にしるすようにブラックの講談には涙香も翻訳したイギリス流行作家 Mary Elizabeth Braddon 女史の作品などもあるので、これもおそらくイギリス小説によったものではないかと思う。
その原作が何であるか、探偵小説史にも残っていない無名作家の作品をさがし出すことは、日本においてはとうていできない話である。