「幻燈」の作者については、正岡容君が「宝石」昭和二十二年一月号に「英人落語家ブラックの探偵小説」と題する随筆をよせて『明治年代、西洋人情噺を以而、よく大円朝、初代燕枝に拮抗したる存在に、英国人の落語家快楽亭ブラックがあった。
(中略)ブラックは幕末、ジャーナリストたりしその父君に連れられて渡日、父と共に「日新真事誌」なる新聞事業に挺身したが、明治初年、自由民権の演説流行に刺戟され、先ず演説より講談席へ、次いで三遊派一方の重鎮たり得て、大正癸亥の大震前後、没した。
異邦人にして本朝寄席文化史上、大看板の足跡をば残したは、奇術の李彩、音曲のジョンペールと共に、この快楽亭ブラックであろう』と紹介しておられる。