すると、絲の下の床にホコリのような細かい鉄屑がたまったので、この糸束は釘屋に長く置いてあったものと分かり、釘屋の老婆の勝訴となったという話である。
被疑者の服に附着した目に見えないホコリを検鏡して、その人物の職業や最近にいた場所を明かにするという微視的鑑識法は、グロースやロカール以来のものであるが、そのホコリをとる方法としては、近年は真空掃除機のようなもので服のホコリを吸いとることが考案されたけれども、もとは、その服をぬがせ、大きな紙袋に入れて、静かに棒切れで叩きつづけ、紙袋の底にたまったホコリを検鏡するという方法が一般に行われていた。
日本の警視庁でも近年までこの方法を用いていたようである。