「グリーン・マアダー・ケース」では一軒の屋敷の中で次々と人が殺されていく恐怖、深夜邸内をさまよう老婆の恐怖、真犯人が可憐の娘さんであったというスリル、それから自動車おいかけのスリルまでも取り入れられている。
「僧正殺人事件」では、いうまでもなく童謡と殺人とのゾッとする暗合が最大のスリルであり、あのたくみなスリルをのぞいてはこの作の魅力の大部分を失うほどである。
クイーンの作でいえば、首をチョン斬ったT型の磔刑のスリルその他、多くの言葉をついやすまでもなく、どの作にもなんらかのスリルが、重大な要素として含まれていることを否むわけにはいかぬであろう。