それは昨年の秋、十月なかばのことであった。
私は古い仏像が見たくなって、上野の帝室博物館の、薄暗くガランとした部屋部屋を、足音を忍ばせて歩き廻っていた。
部屋が広くて人気がないので、一寸した物音が怖い様な反響を起すので、足音ばかりではなく、咳ばらいさえ憚かられる様な気持だった。
それは昨年の秋、十月なかばのことであった。
私は古い仏像が見たくなって、上野の帝室博物館の、薄暗くガランとした部屋部屋を、足音を忍ばせて歩き廻っていた。
部屋が広くて人気がないので、一寸した物音が怖い様な反響を起すので、足音ばかりではなく、咳ばらいさえ憚かられる様な気持だった。