それに、彼は昨年のなか頃からぱったり筆をとらなくなって、どこへ引越してしまったか、住所さえ分らないと云う噂を聞いていた。
私は静子へはその通り答えてやったが、彼女のこの頃の恐怖は若しやあの大江春泥にかかわりがあるのではないかと思うと、私はあとで説明する様な理由の為に、何となくいやあな心持がした。
すると間もなく、静子から「一度御相談したいことがあるから、御伺いしても差支ないか」という端書が来た。
それに、彼は昨年のなか頃からぱったり筆をとらなくなって、どこへ引越してしまったか、住所さえ分らないと云う噂を聞いていた。
私は静子へはその通り答えてやったが、彼女のこの頃の恐怖は若しやあの大江春泥にかかわりがあるのではないかと思うと、私はあとで説明する様な理由の為に、何となくいやあな心持がした。
すると間もなく、静子から「一度御相談したいことがあるから、御伺いしても差支ないか」という端書が来た。