私にしても、彼の著書の奥附を見たり、私の所へよく来る本田が本名で彼の噂をするのを聞かなかったら、いつまでも平田という名前を知らなかったであろう。
それ程彼は人嫌いで、世間に顔出しをせぬ男であった。
平田のおどかしの手紙は、その外に三通ばかりあったが、いずれも大同小異で、(消印はどれもこれも違った局のであった)復讐の呪咀の言葉のあとに、静子のある夜の行為が、細大洩らさず、正確な時間を附加えて記入してあることに変りはなかった。
私にしても、彼の著書の奥附を見たり、私の所へよく来る本田が本名で彼の噂をするのを聞かなかったら、いつまでも平田という名前を知らなかったであろう。
それ程彼は人嫌いで、世間に顔出しをせぬ男であった。
平田のおどかしの手紙は、その外に三通ばかりあったが、いずれも大同小異で、(消印はどれもこれも違った局のであった)復讐の呪咀の言葉のあとに、静子のある夜の行為が、細大洩らさず、正確な時間を附加えて記入してあることに変りはなかった。