それは一方では、彼女が過去の秘密を、つまり彼女が結婚以前既に処女でなかったという事実を、夫の六郎氏に知られることを、どれ程恐れていたかということを示すものであり、同時に又一方では、彼女の私に対する信頼がどんなに厚いかということを証する訳でもあった。
「わたくし、主人側の親類の外には、身内と云っては一人もございませんし、御友達にこんなことを相談する様な親身の方はありませんし、本当に無躾だとは思いましたけれど、わたくし、先生に御すがりすれば、私がどうすればいいか、御教え下さるでしょうと思いましたものですから」
彼女にそんな風に云われると、この美しい女がこんなにも私をたよっているかと思うと、私は胸がワクワクする程嬉しかった。