私が大江春泥と同じ探偵作家であったこと、少くとも小説の上では、私が仲々巧みな推理家であったことなどが、彼女が私を相談相手に選んだ幾分の理由を為していたには相違ないが、それにしても、彼女が私に対して余程の信頼と好意を持っていないでは、こんな相談がかけられるものではないのだ。
云うまでもなく、私は静子の申出を容れて、出来る丈けの助力をすることを承諾した。
大江春泥が静子の行動を、これ程巨細に知る為には、小山田家の召使を買収するか、彼自身が邸内に忍込んで、静子の身近く身をひそめているか、又はそれに近い悪企みが行われていたと考える外はなかった。