彼女は何故ということもなく立上って、部屋の隅へ歩いて行った。
そして、丁度箪笥の前に立止った時、頭の上から、非常に幽かな地虫の鳴声でもある様な、物音が聞えて来る様に感じた。
「わたくし、耳鳴りではないかと思ったのですけれど、じっと辛抱して聞いていますと、耳鳴とは違った、金のふれ合う様な、カチ、カチっていう音が、確かに聞えて来るのでございます」
彼女は何故ということもなく立上って、部屋の隅へ歩いて行った。
そして、丁度箪笥の前に立止った時、頭の上から、非常に幽かな地虫の鳴声でもある様な、物音が聞えて来る様に感じた。
「わたくし、耳鳴りではないかと思ったのですけれど、じっと辛抱して聞いていますと、耳鳴とは違った、金のふれ合う様な、カチ、カチっていう音が、確かに聞えて来るのでございます」