私は屋根裏の暗闇の中で、真赤なとんがり帽と、道化服をつけた太っちょうの大江春泥が、ニヤニヤと笑っている幻覚をさえ感じた。
私達は色々相談をした末、結局私が「屋根裏の遊戯」の中の素人探偵の様に、静子の居間の天井裏へ上って、そこに人のいた形跡があるかどうか、若しいたとすれば、一体どこから出入したのであるかを、確めて見ることになった。
静子は、「そんな気味の悪いことを」と云ってしきりに止めたけれど、私はそれをふり切って、春泥の小説から教わった通り、押入れの天井板をはがして、電燈工夫の様にその穴の中へもぐって行った。