丁度汽車か船の便所と同じで、不潔物が溜る様なことはなく、綺麗と云えば綺麗だが、その長方形に区切られた穴から、じっと下を見ていると、底の知れない青黒い水が澱んでいて、時々ごもくなどが、検微鏡の中の微生物の様に、穴の端から現われて、ゆるゆると他の端へ消えて行く。
それが妙に無気味な感じなのだ。
三月二十日の朝八時頃、浅草仲店の商家の若いお神さんが、千住へ用達しに行く為に、吾妻橋の汽船発着所へ来て、船を待合せる間に、今の便所へ入った。
丁度汽車か船の便所と同じで、不潔物が溜る様なことはなく、綺麗と云えば綺麗だが、その長方形に区切られた穴から、じっと下を見ていると、底の知れない青黒い水が澱んでいて、時々ごもくなどが、検微鏡の中の微生物の様に、穴の端から現われて、ゆるゆると他の端へ消えて行く。
それが妙に無気味な感じなのだ。
三月二十日の朝八時頃、浅草仲店の商家の若いお神さんが、千住へ用達しに行く為に、吾妻橋の汽船発着所へ来て、船を待合せる間に、今の便所へ入った。