丁度今し方警察から帰った所だと云って、静子はそれらの見舞客にとり囲まれて、ぼんやりしているのだ。
六郎氏の死体は、都合によっては解剖に附せなければならないと云うので、まだ警察から下渡されず、仏壇の前の白布で覆われた台には急拵えの位牌ばかりが置かれ、それに物々しく香華がたむけてあった。
私はそこで、静子や会社の人から、右に述べた死体発見の顛末を聞かされたのであるが、私は春泥を軽蔑して、二三日前静子が警察に届けようといったのをとめたばかりに、この様な不祥事を惹起したかと思うと、恥と後悔とで、座にもいたたまれぬ思いがした。