ということであった。
そこで、本田は今度は、深夜の浅草公園をさまよって、暗い木蔭のベンチなどを一つ一つ覗き廻って見たり、浮浪人が泊り相な本所あたりの木賃宿へ、態々泊り込んで、そこの宿泊人達と懇意を結んで、若しや春泥らしい男を見かけなかったかと尋ね廻って見たり、それはそれは苦労をしたのであるが、いつまでたっても、少しの手掛りさえ掴むことは出来なかった。
本田は一週間に一度位は、私の宿に立寄って、彼の苦心談を話して行くのであったが、ある時、彼は例の大黒様の様な顔をニヤニヤさせて、こんな話をしたのである。