私もその席に連ったのであるが、その晩湧き起った二つの新しい事実、(それはまるで性質の違う事柄であったにも拘らず、後に説明かす通り、それらには、不思議にも運命的な、あるつながりがあったのだが)恐らく一生涯忘れることの出来ない、大きな感動を私に与えたのである。
その時、私は静子と並んで、薄暗い廊下を歩いていた。
客が皆帰ってしまってからも、私は暫く静子と私丈けの話題(春泥捜索のこと)について話合った後、十一時頃であったか、余り長居をしては、召使の手前もあるので、別れを告げて、静子が御出入の帳場から呼んでくれた自動車にのって帰宅したのであるが、その時、静子は私を玄関まで見送る為に、私と肩を並べて廊下を歩いていたのだ。