手袋が内地では手に入らぬ外国製のものであること、六郎氏が運転手に与えた手袋の飾釦がとれていたことなど思合せば、かの屋根裏に潜んでいた者は、当の小山田六郎氏ではなく、大江春泥であったと、そんな不合理な事が考えられるでしょうか。
(ではそれが六郎氏であったとしたら、彼はなぜその大切な証拠品を、迂濶にも運転手などに与えたかとの御反問があるかも知れません。
併し、それは後に述べます様に、彼は別段法律上の罪悪を犯してなどいなかったからです。
手袋が内地では手に入らぬ外国製のものであること、六郎氏が運転手に与えた手袋の飾釦がとれていたことなど思合せば、かの屋根裏に潜んでいた者は、当の小山田六郎氏ではなく、大江春泥であったと、そんな不合理な事が考えられるでしょうか。
(ではそれが六郎氏であったとしたら、彼はなぜその大切な証拠品を、迂濶にも運転手などに与えたかとの御反問があるかも知れません。
併し、それは後に述べます様に、彼は別段法律上の罪悪を犯してなどいなかったからです。