のちに静子が窓の外に人の顔が見えたと私に語ったのは、この時のことであったのです。
さて、それでは、六郎氏がどうして、死ぬ様なことになったか、それを語る前に、私は一応、私が六郎氏を疑い出してから二度目に小山田家を訪ね、洋館の問題の窓から、外を覗いて見た時の観察を申述べねばなりません。
これはあなた自身行って御覧なされば分ることですから、くだくだしい描写は省くことに致しますが、その窓は隅田川に面していて、外は殆ど軒下程の空地もなく、すぐ例の表側と同じコンクリート塀に囲まれ、塀は直ちに余程高い石崖に続いています。