そこで、六郎氏が軒蛇腹(それは巾が非常に細いのです)から足を踏みはずして転落したとしますと、余程運がよくて、塀の内側へ(そこは人一人やっと通れる位の細い空地です)落ちることも不可能ではありませんが、そうでなければ、一度塀の上部にぶっつかって、そのまま、外の大川へ墜落する外はないのです。
そして、六郎氏の場合は無論後者だったのであります。
私は最初、隅田川の流れというものに思い当った時から、死体が投込まれた現場に止っていたと考えるよりは、上流から漂って来たと解釈する方が、より自然だとは気づいていました。