それは、どこか人目につかぬ場所に、家を一軒借りて、そこを静子と私との媾曳の場所と定め、誰にも知られぬ様に、二人丈けの秘密の逢う瀬を楽しもうということであった。
その時私は、女中が立去ったのを見届けて、浅ましいことを白状しなければならぬが、いきなり静子を引寄せ、彼女と第二の接吻を交しながら、そして私の両手は彼女の背中のフランネルの手触りを楽しみながら、私はその思いつきを彼女の耳に囁いたのだ。
すると彼女は私のこの無躾な仕草を拒まなかったばかりでなく、僅かに首をうなずかせて、私の申出でをも受入れて呉れたのである。