私は幾度も糸崎検事を訪ねて、その後の経過を聞いて見たけれど、彼はいつも曖昧な返事をするばかりで、大江春泥捜索の見込みがついているとも見えぬ。
私は又、人を頼んで、平田一郎の故郷である静岡の町を検べて貰ったけれど、彼が全く架空の人物であってくれればという空頼みの甲斐もなく、今は行方不明の平田一郎なる人物があったことを報じて来た。
だが、仮令平田という人物が実在していた所で、彼が誠の静子の嘗つての恋人であった所で、それが大江春泥であり六郎氏殺害の犯人であったと、どうして断定することが出来よう。
私は幾度も糸崎検事を訪ねて、その後の経過を聞いて見たけれど、彼はいつも曖昧な返事をするばかりで、大江春泥捜索の見込みがついているとも見えぬ。
私は又、人を頼んで、平田一郎の故郷である静岡の町を検べて貰ったけれど、彼が全く架空の人物であってくれればという空頼みの甲斐もなく、今は行方不明の平田一郎なる人物があったことを報じて来た。
だが、仮令平田という人物が実在していた所で、彼が誠の静子の嘗つての恋人であった所で、それが大江春泥であり六郎氏殺害の犯人であったと、どうして断定することが出来よう。