併し、格二郎にしては、彼自身善人である丈に、そこまで疑念を抱くことは出来なかった。
単なる「オセイ」の三字が何を意味するか、それが下手人を指し示すものであろうとは、想像の外であった。
彼がそこから得た感じは、おせいに対する漠然たる疑惑と、兄が未憐にも、死際まで彼女のことを忘られず、苦悶の指先にその名を書き止めた無慙の気持ばかりであった。
併し、格二郎にしては、彼自身善人である丈に、そこまで疑念を抱くことは出来なかった。
単なる「オセイ」の三字が何を意味するか、それが下手人を指し示すものであろうとは、想像の外であった。
彼がそこから得た感じは、おせいに対する漠然たる疑惑と、兄が未憐にも、死際まで彼女のことを忘られず、苦悶の指先にその名を書き止めた無慙の気持ばかりであった。