それは、あたりの低い雑草の中に、化物の様に太い茎と、厚ぼったい丸い葉を、ヌッとつき出しているので、すぐに分ったが、見ると、その一本の茎が、半ばからポッキリ折り取られて、まるで片腕なくした不具者の様に、変に淋しい姿をしているのだ。
私は、殆ど暮れ切った闇の中で、うそ寒く立ちつくしていた。
醜い顔に、いつも狂者の様に髪の毛を振り乱している、あの四十女の女房が、さっき私達の立去ったあとで、恐しい決心の為に頬を引つらせながら、ノソノソと丘を下り、四つ這いになってその植物を折り取っている有様が、気味悪く私の目に浮んで来る。