あの時分の娘々した気持を思い出しますと、われながら可愛らしい様でございます。
一方ではそんな不安を感じながら、でも、隣町の呉服屋へ衣裳の見立に参ったり、それを家中の手で裁縫したり、道具類だとか、細々した手廻りの品々を用意したり、その中へ先方からは立派な結納が届く、お友達にはお祝いの言葉やら、羨望の言葉やら、誰かにあえばひやかされるのがなれっこになってしまって、それが又恥かしいほど嬉しくて、家中にみちみちた花やかな空気が、十九の娘を、もう有頂天にしてしまったのでございます。
一つは、どの様な変人であろうが、気むずかし屋さんであろうが、今申す水際立った殿御振に、私はすっかり魅せられていたのでもございましょう。