まさかそんなことがと思いながら、でも何となく薄気味悪くて、一つ一つ長持の蓋を開く時には、からだ中から冷いものがにじみ出し、ハッと息も止まる思いでございました。
ところが、その蓋を持上げて、まるで棺桶の中でも覗く気で、思い切って、グッと首を入れて見ますと、予期していました通り、或は予期に反して、どれもこれも古めかしい衣類だとか、夜具、美しい文庫類などが入っているばかりで、何の疑わしいものも出ては来ないのでございます。
でも、あの極った様に聞えて来た、蓋のしまる音、錠前のおりる音は、一体何を意味するのでありましょう。