いぶし銀のようにくすんだ色の広間の中に、鈍く光った寄木細工の床の上に、種々様々の変装をこらし、お揃いのマスクをはめた十七人の男と、十七人の女が、ムッツリと黙り込んだまま、今にも何事か奇怪な出来事の起るのを待設けでもするように、ある者は静止し、ある者は蠢いているのです。
こんな風に申しますと、読者諸君は、西洋の仮装舞踏会を聯想されるかも知れませんが、決してそうではないのです。
部屋は洋室であり、人々は大体洋装をしてはいましたけれど、その部屋が日本人の邸宅の洋室であり、その人々が洋装をした日本人であるように、全体の調子が、非常に日本的で、西洋の仮装舞踏会などとはまるで違った感じのものでありました。