相手の方でも、そのしなやかな手頸を私にゆだねました。
気の利いた司会者は、態とダンス物を避けて、静かな絃楽合奏のレコードをかけましたので、ダンスを知った人も、知らない人も、一様に素人として、広間の中を廻り始めました。
若しそこに僅かの光でもあろうものなら、気がさして、迚も踊ることはできなかったでしょうが、司会者の心遣いで、幸い暗闇になっていたものですから、男も女も、案外活溌に、おしまいには、コツコツという沢山の跫音が、それから、あらい息使いが、広間の天井に響き渡る程も、勢よく踊り出したものであります。