「附文かな」
ハッと息を呑んで、ラッパを休んで、格二郎の目は、お冬のお尻へ、そこのポケットから封筒らしいものの端が、糸の様に見えているのだが、それに釘づけにされた形であった。
若し彼が、以前の様に冷静であったなら、その若者の、顔は綺麗だが、いやに落ちつきのない目の光りだとか、異様にそわそわした様子だとか、それから又、見物の群衆に混って、若者の方を意味ありげに睨んでいる顔なじみの角袖の姿などに、気づいたでもあろうけれど、彼の心は、もっと外の物で充たされていたものだから、それどころではなく、ただもうねたましさと云い知れぬ淋しさで、胸が一杯なのだ。