なぜといって、私はその後も折がある毎にこのあなたの写真を抜き出して、死んだ姉のことを思い浮べていたのですから、あなたという人は、私にとっては忘れることの出来ない、深いお馴染に相違ないのです。
先日御逢いした時には、それを胴忘れして、写真ではなく実物のあなたに見覚えがある様に思い違えた訳なのです。
又あなたにしても」田中はニヤニヤ笑うのですね「写真までやった女の顔を御忘れになる筈はなく、その女の弟のことですから、私に姉の面影があって、それをやっぱり以前に逢った様に誤解なすったのではありますまいか」