そして、別れる時に、私は田中にねだって、その懐中鏡と、すみ子の写真とを貰い受け、大切に、内ぶところに抱きしめて、家へ帰ったことでした。
考えて見れば、実に不思議な因縁と云わねばなりません。
偶然浅草公園の共同ベンチで出逢った男が、昔の恋人の兄弟であって、しかも、その男からまるで予期しなかったその人の心持を知るなんて、それも、私達が以前に逢っているのだったら、さして不思議でもないのですが、まるで見ず知らずの間柄で、双方相手の顔を覚えていたのですからね。
そして、別れる時に、私は田中にねだって、その懐中鏡と、すみ子の写真とを貰い受け、大切に、内ぶところに抱きしめて、家へ帰ったことでした。
考えて見れば、実に不思議な因縁と云わねばなりません。
偶然浅草公園の共同ベンチで出逢った男が、昔の恋人の兄弟であって、しかも、その男からまるで予期しなかったその人の心持を知るなんて、それも、私達が以前に逢っているのだったら、さして不思議でもないのですが、まるで見ず知らずの間柄で、双方相手の顔を覚えていたのですからね。