それとも又、この書翰集は無名の小説家が現実の事件に基いて、彼の空想を縦にした、廻りくどい欺瞞なのであろうか。
歴史家でない私は、その何れであるかを確める義務を感じるよりも先に、これを一篇の探偵小説として、世に発表したい誘惑に打ち勝ち兼ねたのである。
一応は、この書翰集全体を、私の手で普通の物語体に書き改めることを考えて見たけれど、それは、事件の真実性を薄めるばかりでなく、却って物語の興味をそぐ虞れがあった。
それとも又、この書翰集は無名の小説家が現実の事件に基いて、彼の空想を縦にした、廻りくどい欺瞞なのであろうか。
歴史家でない私は、その何れであるかを確める義務を感じるよりも先に、これを一篇の探偵小説として、世に発表したい誘惑に打ち勝ち兼ねたのである。
一応は、この書翰集全体を、私の手で普通の物語体に書き改めることを考えて見たけれど、それは、事件の真実性を薄めるばかりでなく、却って物語の興味をそぐ虞れがあった。