僕は道端に立止まって二三分も乞食を眺め続けたが、その間彼は僕を黙殺して、片方しかない手で折れ曲った背中をボリボリ掻いていた。
僕がこの躄乞食をそんなに長く見つめていたのは、人間の普通でない姿態に惹きつけられる例の僕の子供らしい好奇心に過ぎなかったが、併しそうしてこの乞食を心にとめて置いたことが、あとになってなかなか役に立った。
いやそればかりではなく、僕とそいつとは、別にはっきりした理由がある訳ではないけれど、何だか目に見えない糸で繋ぎ合されている様な気がして仕方がないのだ。
僕は道端に立止まって二三分も乞食を眺め続けたが、その間彼は僕を黙殺して、片方しかない手で折れ曲った背中をボリボリ掻いていた。
僕がこの躄乞食をそんなに長く見つめていたのは、人間の普通でない姿態に惹きつけられる例の僕の子供らしい好奇心に過ぎなかったが、併しそうしてこの乞食を心にとめて置いたことが、あとになってなかなか役に立った。
いやそればかりではなく、僕とそいつとは、別にはっきりした理由がある訳ではないけれど、何だか目に見えない糸で繋ぎ合されている様な気がして仕方がないのだ。