着ていたのは、盲目縞の木綿の単衣のぼろぼろに破れたもので、殊に左の袖は跡方もなくちぎれてしまって、ちぎれた袖の間から、黒く汚れたメリヤスのシャツに包まれた腕のつけ根が、肩から生えた瘤みたいに窺いていた。
その瘤の先が風呂敷の結び目の様にキュッとしぼんでいるのは、一見外科手術の痕で、この乞食が癩病患者ではないことを語るものだ。
胴体は非常な老人の様に全く二つに折れて、ちょっと見ると座っているのだか寝ているのだか分らない程であったが、その胴体に覆い隠された隙間から、膝から上丈けの二本の細い腿が窺いて見えて、それが泥まみれの躄車の中にきっちりと嵌まり込んでいた。