で、長襦袢の血痕は、人々を一瞬間ハッとさせたばかりで、別に犯人捜索の直接の手掛りとはならなかったが、併しそうして丸めた着物をとりのけた事が、実に奇妙な証拠品らしいものを発見する機縁となった。
同じ板の間の隅っこの、今までは着物の為に隠れていた部分に、小さく丸めた紙切れが落ちていたのだ。
その紙切れはこの殺人事件での証拠らしい証拠品の唯一のものであって、その筋の人達もこれには非常に興味を持った様に思われるし、僕自身にも、何となくこれが後に重大な意味を持ってくるのではないかという予感があるので、その紙切れについてなるべく詳しく書いて置こうと思う。