アリバイ
お花の証言で、その惨死体が豪農山北家のお嬢さんと分ったので、すぐさま山北家へ急使が飛ぶ、駐在所へ自転車が走る、警察電話がけたたましく鳴り響く、家々からは、緊張した表情の人々が現場へ、現場へと駈け出す、暫くして係官を満載した警察自動車が本署から到着するという、物々しい騒ぎとなった。
綿密な現場調査が終り、解剖の為に死体がN市の病院へ運び去られると、関係者の取調べを行う為に、甚だ変則ながら、臨機の処置として村の小学校の応接室が借り入れられ、そこへ、鶴子の両親の山北夫婦、同家の傭人、発見者の大宅、殿村、仁兵衛爺さん、娘のお花などが次々に呼入れられた。