国枝氏は、小説家の妄想が、ピシピシと適中して行くのを、非常な驚きを以て、寧ろ空恐ろしくさえ感じながら聞いていたが、併し、まだまだ腑に落ぬ点が色々あった。
「殿村君、すると大宅幸吉は別に嘘を云う必要もなく、又云ってもいなかったことになるが、思い出して見給え、大宅は犯罪の当夜おそくまで絹川雪子の所にいたと主張している。
つまり雪子はその夜少くとも十一時前後まではN市にいた筈だね。
国枝氏は、小説家の妄想が、ピシピシと適中して行くのを、非常な驚きを以て、寧ろ空恐ろしくさえ感じながら聞いていたが、併し、まだまだ腑に落ぬ点が色々あった。
「殿村君、すると大宅幸吉は別に嘘を云う必要もなく、又云ってもいなかったことになるが、思い出して見給え、大宅は犯罪の当夜おそくまで絹川雪子の所にいたと主張している。
つまり雪子はその夜少くとも十一時前後まではN市にいた筈だね。