その日、舌噛み切た鶴子を院長に託し、鶴子の実家へは長文の電報を打って置いて、一先ずN市へ引返す汽車の中で、国枝予審判事は、親友の殿村に、こんなことを尋ねたものだ。
「それにしても、僕にはまだ呑み込めない点があるんだがね。
鶴子が無蓋貨車に隠れて、逃げ出したのは分っているが、その行先が高原療養所だということを、君はどうして推察したんだね」
その日、舌噛み切た鶴子を院長に託し、鶴子の実家へは長文の電報を打って置いて、一先ずN市へ引返す汽車の中で、国枝予審判事は、親友の殿村に、こんなことを尋ねたものだ。
「それにしても、僕にはまだ呑み込めない点があるんだがね。
鶴子が無蓋貨車に隠れて、逃げ出したのは分っているが、その行先が高原療養所だということを、君はどうして推察したんだね」