蘭堂という筆名は甚だ不意気だけれど、彼はまだ三十歳の青年作家で、作家仲間でも評判の美丈夫であったから、この種の誘惑には度々出会っている仕合者だ。
従って、いくら相手が美しいからと云って、直様感激する様なお坊ちゃんではなかったし、彼には伯爵令嬢花園京子という寸時も忘れ難い人がある為に、この若き未亡人の優遇は、当惑の外の何ものでもなかった。
ビクビクしながら呑む酒は、酔いとならず、相手の夏子の方が、グラスに一つ二つのお相伴に、ホンノリと上気して、段々多弁に艶かしくなって来る。
蘭堂という筆名は甚だ不意気だけれど、彼はまだ三十歳の青年作家で、作家仲間でも評判の美丈夫であったから、この種の誘惑には度々出会っている仕合者だ。
従って、いくら相手が美しいからと云って、直様感激する様なお坊ちゃんではなかったし、彼には伯爵令嬢花園京子という寸時も忘れ難い人がある為に、この若き未亡人の優遇は、当惑の外の何ものでもなかった。
ビクビクしながら呑む酒は、酔いとならず、相手の夏子の方が、グラスに一つ二つのお相伴に、ホンノリと上気して、段々多弁に艶かしくなって来る。