橘は暫く変り果てた林の死体をじっと見詰ていたが、やがて、余りにも不意の血腥い出来事の為めに碌々口も利けず、唯おろおろ顔の色を変えて震えているボーイに、兎も角急を警察へ知らせるように吩咐けて置いて、さて、寝台の傍を離れると、更めて部屋の内部を克明に見廻し初めた。
先にも言った通り、この離れは一軒建の洋館だったが、部屋の様子を一応申し述べてみると、東と北とは壁、そして、その隅に寝台が置かれ、それに並んで、洋箪笥が据えてある。
その真正面、つまり西側の北寄りの所が、この部屋の唯一の入口で、長い廊下を通って母屋に通えるようになっていた。